提 言

 敗戦後、私達の先輩は全てを犠牲にして祖国復興の為、命を懸けてきた。そして世界に冠たる経済大国となり、多くの国民は豊かになり中流意識を感ずる程になった。しかし乍ら、この経済繁栄は虚構の産物で所詮魂なき繁栄である事に気が付いた。つまり敗戦後、魂を売ってパンを得たのである。パンとサーカス「飽食と娯楽(レジャー)」で滅びた国は枚挙にいとまがない。ギリシャ・ペルシャ・ローマ・サラセン・カルタゴを見よ。日本もその轍を踏まないとも限らない。政治家(族議員)は党利党略のみで選挙のチャンピオンと化し、官僚(悪代官)は自己保身で天下りを慣習化し、産業界(経済動物)は利害打算損得勘定を習いとし、マスコミ(賤業)は真実を報道せず、巨大宗教(邪教)は信者を誑かし企業宗教と化し、又、一般国民(畜群)は欲望民主主義の下に3S(スポーツ・スクリーン・セックス)に昼夜興じている。特に大人から子供に至るまで玉打ち(野球)玉蹴り(サッカー)玉入れ(ゴルフ)に現を抜かしている。一体どこに生産性があるのだろうか?一億総玉遊びと云っても過言ではない。尚9.11テロの時、大リーグのジャイアンツ・ゴメス投手は「自分がやっている事(野球)がニュースを見るたびに大した事ではないと実感した」と、全ての原因は現行憲法に帰結すると云っても間違いではない。主権在民の基に権利条項が18ヶ所に比べ義務条項は5ヶ所と極端に少なく、多くの国民は権利と利益だけを主張する一億総エゴの民族と化してしまった。その結果、国家意識の低下、愛国心の喪失、国論の分裂、暴力殺人の横行、道義の退廃、自由の乱用、秩序の無視などが続発している。つまり、この占領憲法により日本は爪・牙・骨・魂・誇りを抜かれ、経済動物と云う名の太った豚に成り下がってしまったのである。
 そして一番重大な問題は、云うまでもなく第九条である。極端に云えば、自衛隊を存続するなら改正しなければならず、現行憲法を保持するならば、自衛隊は破棄しなければならない。現在、激しく揺れ動く国際情勢の中で(特に近隣諸国)現行憲法を守るのが先か、国を守るのが大事かは最早明瞭である。此処に、先の敗戦から今日に至るまで、云いようのない日本のまやかし・悲しみが纏わり付いているのである。
 尚、総理府が行った世論調査で「自衛隊はあった方が良い」と回答した人は83%にも昇り一日も早く断行せねばならない。今や座視傍観は許されない。我々国民一人々々の問題として一切の虚偽、欺瞞、糊塗を廃して子々孫々の為にも選択、決断しなければならない秋である。
 さらに現下日本の凡ゆる、弛緩・頽廃・低迷・混乱は日米安保に起因する、と云っても間違いではない。極論すれば独立主権国家の中に、他国の軍隊が駐留していると謂う事が異常であり、これを解決し得ない限り何を論じても不毛であり、ナンセンス・陳腐・下劣・空疎・幻想である事は否めない。或る意味で我が国はアメリカの保護領であり、属国であり、真の独立国家の体を成していない、謂る半植民地・半主権国家・半独立国家と言ってもよい。そして米軍の演習・保給・輸送・前進基地(東アジアに突きつけた匕首)である。又、在日米軍の役割は、日本軍事大国化の抑止力にある、と当時のスタック・ポール司令官の『ビンの蓋』論で明言している。お人好しの日本政府は、空前絶後(一千兆円)の累積債務、世界一の赤字を抱え乍ら米軍駐留経費を世界全体の50%以上、ドイツの3倍、NATOの1.6倍も負担させられている。又、安保条約上の負担義務はない「思いやり予算」は年々増加し、沖縄県の年間予算に匹敵する6千億超の財政負担を国民の血税から惜しげもなく散財している。米軍が依然として、世界の盟主国家としての戦略を遂行して行く為には、同盟国(隷属)日本の一層の協力と動員を必要とする。日本の金融協力なくして、財政破綻寸前のアメリカは、自国内に軍隊を維持するよりも、日本に置いておく方が安上がりなのである。然し乍ら、その矛盾は横須賀・佐世保に司令部を置き乍ら、アジア太平洋をカバーする海兵隊を維持する沖縄に限定する必要性は見当たらない。それと同じ事は東西冷戦時代、北海道には駐留せず、沖縄から一歩も出なかった事も頷ける。又、日本人とドイツ人のどちらが残酷かの問いに、米国人の5人に4人が日本人と答えている所にいつまでも居座っている方がおかしい。嘗てトルーマンが「日本人はサルだから動物実験対象にして宜しい」と云って、原爆を広島と長崎に落としたのも頷ける。さながら広島の原爆碑に「二度とあやまちはくりかえしませんから」とあるのも首肯できる。これがアングロサクソンの正体なのだ。
 又、ゲルマン民族のナチス・ドイツがイギリスを空襲したというのでアメリカもフランスも大いに怒って「一般市民を殺すとは、人道にもとる蛮行だ」と云いながら、日本人には情け容赦なく一般市民を殺した。さらに逃げ場を塞いで爆弾を落とすという、実に効果的な殺戮法で東京の下町を丸焼けにした。尚当時の指揮官カーチス・ルメイ将軍は戦後航空自衛隊への功績により、日本政府から勲一等旭日大綬章をもらうという愚にもつかないことを時の政府はやっている。
 今、現在国際統一ルールは「国際会計基準理事会」の定員14名の理事の内訳を見ると、イギリスが正副議長を含む4名・アメリカ人3名・ドイツ・フランス・スイス・カナダ・オーストラリア・南アフリカ・日本から各1名と成っている。要は、英・米だけで定数の半分を占め、アングロサクソンだけで70%を占める、という偏った人種構成となっている。これから世界は、資源・食糧・環境・医療・保険・技術・宗教への争奪戦が繰り広げられると予想される。そして最後は人種戦争となるのは必至であろう。彼ら(アングロサクソン)は常に東アジアを喰いものにし、分裂・対立を画策してきた。その中でアメリカの基本的戦略構想は「日中を引き裂く戦略である」という事が明らかになった。最早かのローマ帝国が没落した如く、文明がいつまでも同じ国・同じ場所に居続ける歴史はあり得ない。これからはアジアの時代、台頭である。我々はそのことに鑑み、あくまでも偽善者たる中立を装う事を抜ぎ捨て、世界統一の前提として、東アジアの国々との連携を模索しなければならない。これが日本の道であると確信する。